会報

【連載】介護家族をささえる (2019年10月会報より)

裏方の話(その1)

本の出版でもわかるように、何か取り組むにはそのための裏方の仕事がある。活動が広がると、その裏方作業も当然多くなってくる。裏方の仕事といっても、イメージがつきにくいと思うので、ここでは活動別に舞台裏の様子をお伝えしたい。

つどい
当日の運営は手分けできても、県下各地にちらばっている世話人が受付名簿用紙や当日渡す資料を整えたりなどの事前準備まで行うことは無理だ。まだ認知症の書籍があまり出回っていなかった頃は、本を“つどい”に持っていけば、必ず2~3冊は売れた。収益は定価の2割程度だが、ちりも積もれば山となるで、1年分となると、わずかとはいえ貴重な資金源になるので、その準備は欠かせない。そんなことも含めて、前夜にごそごそ、鉛筆を削ったり、本のおつりを準備したり、細々な準備に結構時間がかかる。きちんと時間をかけると忘れ物も防げるので、受付で担当の人が困ることが少なくなる。

本があると荷物は重くなるので、それを持っていくのも一苦労である。そこは力持ちの夫の役割で、必ず“つどい”には付いてきてくれた。車の運転もしてくれるし、一人ですべてを担わなくてよかったのでとても助かった。よほどのことがない限り私が“つどい”を欠席することはなかったが、遅れるとか、どうしても出られない時でも持って行ってくれるので、心強かった。たまにご本人(男性)の参加があるときなどは、男同士ということで外に連れ出してくれたので、それも助かったところだ。夫は“つどい”で皆さんの話を聞き、「自分は介護に協力していなかったな」と感じるようで、私としては家族の会の活動がとてもやりやすい。

ちょっと話がそれるが、“つどい”の会場である中小企業センターは名古屋の駅前、駐車料金が高い。30分で200円もかかった。交流会は13:30からなので、12:30前後には到着するように出かけ、駐車料金、高速代・交流会参加費すべて入れると、“つどい”に参加すると1回あたり5000円ほどかかる。年金暮らしだったり、自分で働いていない主婦だったら、ボランティアのために毎月“つどい”に出かける費用としたらかなり痛い。自分で働いて稼いでいることで、さほど出費を気にすることなく活動してきたが、それにしてもずいぶんと経費がかかる。少し会で補助すればいいと思うかもしれないが、残念なことに、会にはそんな余裕はないのだ。いまだに世話人の人は、活動のすべてが自費である。

裏方の話(その2)

“つどい”の裏方はやることが決まっており、それほど難しい判断はいらないが、電話相談や研修会、講演会となると随分違ってくる。特に電話相談の常設に取り組み始めたあたりから、その実施のための業務が増えていった。養成講座を例にとれば、
*内容を考える
*講師を探す、コンタクトをとりOKをもらう、講師依頼を出す
*研修・宿泊会場を確保し、使用申込書提出する
*要項をパソコンで作成する
*要項を印刷する
*募集を行う(FAX送信、郵送、マスコミ等)
*TELの問い合わせ対応
*応募書類を整理
*書類選考
*講座受講の可否を出す、受講料振り込みの確認
*講座実施打ち合わせ
*研修開始(講師打ちあわせ、資料の印刷、会場費、講師料の準備など)
*体験学習への対応
*修了証の作成
*委嘱の可否送付など

ざっと書いただけでもこれだけの仕事がある。最初はほとんどすべてを一人でやっていたが、後に電話相談スタッフの中に養成係を作り、その人達が手分けして、要項の作成・講師とのコンタクト・宿泊の確保、講座の実施など多くの部分を担ってくれるようになり、とても楽になった。

裏方の話(その3)

特に最も手間がかかるのが、PRと人集めだ。それなりのPRをしないと、人は集まらない。講演会を例に、そのPR事情をお伝えする。募集のチラシを郵送すると80円かかるので、郵送は会員やこれまで家族の会の講演会に参加してくださった方に限定し、あとは出来るだけFAXにして10円か20円の経費で済ませるようにした。郵送対象の人も、チラシを縮小してはがきに印刷すると50円でいいので、内容によってはがきを選択することもある。

FAXを送るには名簿を作成することが必要だ。途中でインターネットが使えるようになってからは、インターネットの介護事業所の名簿から1件ずつ拾い出して、コピー&ペーストで貼り付けながらFAX一覧を根気よく作っていった。それこそ夜なべ仕事で、毎日何時間もかけて、2、3週間やり続けてやっと出来あがる。最初に作っておけば、たまに見直しをしていけばいいのだが、この努力があればこそFAX送付名簿が整う。こんな裏方があるなど、おそらく誰も知らないだろう。

FAX名簿ができたら、FAXの送付であるが、少なくとも3000件は送付する。しかしそれも、1件1件FAXを入れなくていいように、まずFAX機のメモリに入力することが必要だ。今は壊れたので、新しいものに変えたが、長い間FAX機は店(自営)で使っていたものを活用していたので、そこそこ機能がいいものだった。たしか、型が変わって廃盤になるのでと定価60万くらいを25万程で購入した覚えがある。

業務用FAXの何がいいかと言うと、メモリ機能が多いことだ。一度に200件ほど登録できる。ただこの1回200件のメモリ入力と、番号の入れ替えに40分ほどかかるが。200件送付したら、入力し直してまた送付、200件送ってまた入れ替えと、3000件を送るには少なくとも15回同じ作業を繰り返して行うので、ここでも時間と根気が必要だ。

大失敗もいろいろあった。事業所のFAXなのでと安心して夜なべ仕事で送っていたが、小さな事業所は電話と切り替えのFAXなのだ。自動ならまだしも、掛ってきて手動で切り替えるので、必ず電話をとることになる。「何時だと思っているんだ!!!」と朝、電話がかかってきて怒鳴られたり、「そんなチラシはいらないので送るな」と苦情が入ったり…。とにかく「ごめんなさい!!」と謝るしかない。それからは夜もせいぜい9時頃まで朝は自動設定で7時頃からとか、「ボランティアで資金がないので、FAXで送らせていただいています」と、お願いの文章を入れて送ったりして、できるだけ苦情が来ないよう配慮しながらやった。応募が少ないとまた2回目を送ったりもした。送る時期のタイミングもあり、早すぎても遅すぎても申し込みに影響する。開催日の3週間前ぐらいがベストかなと思う。

まさに内職なのだ。でもこれがあればこそ、参加者が集められる。経済的余裕がないだけに、とにかく赤字は困るのだ。参加者がどのくらい来てくれるのか、毎回ドキドキしながらFAXを送っていた。なかなかスリリングだが、心臓には悪い。内容が良くないと参加者は集まらないし、家族の会の講演会はいいと評判になることが次につながるので、講演会にしろ、セミナーにしろ、いかに皆さんに関心を持っていただけるか、その企画は納得がいくまで考えている。

裏方の話(その4)

裏方業務は皆に手伝ってもらえばいいと思うかもしれないが、これがボランティア活動の難しいところである。「自分が手伝える時間だけでいいよね」となるので、肝心な時には人がいないことが多い。すべてを責任もってやってもらえるようになるまでには時間もかかる。毎日、次々用事が出てくるので、特に事務局業務の場合、週2日まるまる仕事をしてもらえるより、週4日半日ずつのほうが流れが理解できるので、お任せしやすい。「それでは、明日ご返事します」と返事しても、次の日返答者は留守、でははかどらない。相手も困る。結局こちらで対処することになる。給与が発生しているわけではないので、介護や子育てで用事があると言われると「まあ無理はいえないな」と当方で引き受けて処理をすることになる。結局そんなことを続けていると、次に同じことをやる場合、また1から説明しないと出来ないことになる。虫食い状態のお手伝いなので、やり直しも出てくる。 平成12年、13年と過ぎていくなかで、就寝は毎日2時、忙しい時には朝、鳥が鳴きだす頃に寝て、やっと7時45分のNHK連ドラの衛星放送に起きるという生活へと変わっていった。

常設の事務局が欲しい、とずっと思っていた。ボランティアでは限界がある。有給できちんと業務をこなせることが必要だ。裏方といったが、実はそこが何より大切で、事務局は、扇の要で、活動の柱でもある。ここがしっかりしないことには、活動が安定しない。いつまでも私の個人的なボランティア活動の域にある限り、家族の会は成り立っていかない。そんなこともあり、事務局の有給化を目指すこととなっていく。

裏方イメージ


 

2012年3月に中央法規から出版した著書「介護家族をささえる」より、愛知県支部の活動の歴史を連載します。

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