認知症の人の特徴


認知症の人の特徴や介護者の悩み、介護をする時のコツをまとめました。

認知症になると・・・

★記憶する力が障害され新しいことを覚えることができない

認知症は記憶する力が障害される脳の病気です。何度も同じことを聞く・出来事があったことをわすれている、昔の事はよく覚えている。というようなことが日常生活で始まってきます。何度も同じことを聞くので「さっきも言ったでしょう」と介護者はイライラしてしまいますが、”新しいことを記憶できない”のです。しかし病気になる前の記憶は頭の中に残っていますので、昔のお話はしっかり出来ます。ただし症状が進んでくると昔の話も出てこなくなります。

★判断力・思考力・抑制力が弱くなり、物ごとを段取れなくなる

認知症になると記憶する力だけでなく判断したり、考えたり、抑制したりする力が弱くなり、物ごとを順序だてて行う事も苦手になってきます。”歯を磨いて”と歯ブラシを渡しても、どうしたらいいのか分からないなど、物事が関連づかないのです。今の事も昔のことも頭の中がごちゃ混ぜになってくるので、認知症が進行するにつれてトンチンカンな行動が多くなってきます。”頭に「もや」がかかっている”と言われる方もあり認知症の人自身もどうしていいのか困っています。

★まだらでおきる

認知症が始まると良い時と悪い時が混在します。最初の頃は、生活のほんの一部にあれ?ということが出てきますが、徐々にあれ??と思う場面が多くなってきます。しかし初期のころは取りつくろう力も適当に話を合わせる力もあるので、何処までが認知症でどこまでがそうでないのか見極めがとても難しいのです。”年のせい”と気がつかないご家族も多くありますが、時間がたってくると、出来ないことが増えてくるので、だんだんと良い時と悪い時の割合が逆転してくるようになります。

★ひとつの事にこだわり続ける

ひとつの事がいったん気になり始めると、そのことに執着してこだわりが続きます。こだわりは当分続きますが、やがてそれも時間の経過とともに収まってきます。そして次の事柄に移っていきます。こだわりの中でも認知症の初期の頃に多く出るのが”物盗られ妄想”です。お金がないと人を疑うようになり、特定の人を泥棒と決めつけ執拗に攻撃するのでとても困ります。認知症の人は自分が言っていることは絶対正しいと思いこんでいますので、周りでいくら本当のことを説明しても分かってはもらえません。

★プライドが強くなり自己中心的になる(自分に不利なことは決して認めない)

人は誰でもプライドを持っています。健康な時は判断力・思考力・抑制力でコントロールしていますが、認知症が始まるとこれらの力が弱くなるため、プライドが強く表に出てくるようになり、少しでも自分の思い通りにならないとすぐに気分を害し腹を立てるようになります。物ごとを順序立てて考えられなくなるため、自己中心的な道理に合わないようなことも多く、自分に不利な事は決して認めようとしません。当然周りの人に対する配慮はできなくなります。

★他人の前でしっかりする (身近な人に症状が強く出る)

私たちは、他人と接する時はそれなりに気を使い、自宅で家族と過ごしている時とは違います。認知症になって”他人の前でしっかりする”というのは、病気になったから特別にできるのではなく、誰もが社会生活を上手に営めるよう当たり前にやってきていることなのです。認知症になっても、ある程度進行するまでその力は保たれます。ですから気を許せる人には、病気の症状が強く出てきます。物盗られ妄想で泥棒と疑われるのは、身近で介護している人が多いというのもそのような理由です。

★敏感に雰囲気を感じ取る力が強くなる

認知症になると言葉が理解できなくなってくるので、それを補うがごとく周りの雰囲気を感じ取る力が先鋭化し、周りの様子に敏感に反応するようになってきます。何もわからない小さな赤ちゃんがお母さんと違う人にだっこされると泣き出すのと同じように、自分を守るための動物的な感じる力が呼び起こされてくるのです。ですから周りがそわそわしていると、認知症の人も落ち着かなくなり、介護者が不安な気持ちでいると認知症の人の不安感も強くなってきます。介護者と認知症の人は鏡なのです。

認知症介護のコツ

★軽い時のほうがたいへん

認知症の介護で介護者が精神的にもっとも大変な時期は初期から中期です。まだまだ出来る事が多い時のほうが振り回されてしまいます。進行すると手はかかりますが関わり易くなってきます。

★目先のことに振り回されない

認知症は時間の経過とともに進行していきます。今困っていることも時間がたつと様子が変わってきますので、目先の事に振り回されないで、3ケ月、半年と少し長い時間で様子の変化を見ましょう。

★理由を考えよう

認知症の人のやっている行動には必ずその人なりの理由があります。あれ?と思うことがあったら「どうしてなのかな」と考えてみましょう。過去の経験などその人の生きてきた人生にヒントが見つかるでしょう。

★薬に頼りすぎないで今を楽しむ

薬で認知症を治すことはできません。まずはどのように生活するのかどのように介護するのかが大切です。今を楽しむ事を心掛けましょう。楽しい時間が多くなると自然と症状が落ち着いてくるでしょう。

★上手に合わせよう

認知症の人との対応はうそも方便。話の内容が事実と違っていてもあまり気にしないで気持ちに寄り添って上手に話を合わせてあげましょう。正しい事を伝えることで逆に頭を混乱させてしまうこともあります。

★サービス利用は早くから

出来るだけ早くからデイサービスなどを利用して、人と触れ合う時間をつくりましょう。まだまだ出来る事が多い時期から利用することで、社会生活の維持ができ認知症の進行予防に効果的です。

★話題を変えよう

同じことを何度も聞かれたり、何かにこだわりが出て対応に困った時には、楽しい話題を投げかけその場から気持ちをそらしましょう。さっきのことはすぐに忘れるので、タイミングをずらすことで関わりやすくなってきます。。